●裁判所の判決
仮に信義則上、保険者(保険会社)に承諾義務が認められる場合があるにしても、そのためには少なくとも@生命保険契約の申込みがなされている A第1回保険料相当額の払込が済んでいる B保険会社に対して告知がなされている C医的診査が終了していること D被保険者が保険契約成立時に保険適格体である という状況下で被保険者となるべき者が死亡した以外に何ら承諾を拒絶すべき合理的な理由が存在しないことが必要であり、今回のケースは保険者の承諾義務が認められる場合には当らないとして、原告(遺族)の請求を棄却した。(大阪地方裁判所第18民事部 平成7年11月30日判決)
●争点に対する判断
原告(遺族)は、「被保険者となるべきであった者は、健康体であって、診査を受けても保険適格性を否定される可能性は皆無であった。診査は受けていなかったが、診査を受けようと努力したにもかかわらず、保険会社の不手際により診査未了となったっものであるから、保険会社には承諾義務がある」と主張しましたが、裁判所は「保険会社に不手際があったとの事実を認める証拠はない」と判断しました。
●hossieのワンポイント
診査が終了していませんでしたので、原告(遺族)は、「診査未了は保険会社の不手際であるから、保険会社は契約を承諾し死亡保険金を支払う義務がある」という切り口で訴えを起こしましたが、全く認められませんでした。 |
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