●裁判所の判決
本件については、被保険者が誤って墜落したものか、故意に招致されたものかいずれとも断定できず、不慮の事故との立証がないとして、災害死亡保険金の請求を棄却した原審判決は相当であるとして、原告である法人の主張を退けた。(東京高等裁判所第15民事部 平成10年1月26日判決)
●争点に対する判断
裁判所は「災害割増特約においては、いわゆるモラルリスクの防止を重視すべきであり、災害割増特約保険金については、その支払いを請求する者において具体的な事故態様により不慮の事故であることを主張立証すべき」としたうえで、本件は不慮の事故かどうかの立証がないということで、控訴人(法人)の控訴を棄却した。
●hossieのワンポイント
災害割増特約の支払いを巡る裁判では、被保険者の保険加入状況や経済状況、その他現在の生活環境などの確認が慎重に行われます。
今回のケースでは加入状況・経済状況とも必ずしも自殺に結びつけるような状況ではなく、また被保険者は自殺を図るような生活環境におかれていたとは言えない状況でしたが、不慮の事故を立証すべき控訴人(法人)の主張(不慮の事故による死亡であること)は立証できていないということで、控訴は棄却されました。 |
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