●裁判所の判決
短期間に集中して保険契約を締結したことに加えて、「@契約締結後の覚せい剤の使用、A収入に比して過大な入院給付金、B診療内容の不合理等の事実」は保険契約を継続する基礎となる契約当事者間の信頼関係を破壊するものであり、これらの事実は保険約款に定める“保険契約を継続することを期待し得ない事由”に該当するとして、保険会社は約款に基づき保険契約を解除しうると判断した。(徳島地方裁判所民事部 平成8年7月17日判決)
●争点に対する判断
「被告(契約者兼被保険者)は、原告(生命保険会社)らの勧誘員の勧誘を断りきれずに本件保険契約を締結したものであり、勧誘員には、他の保険に加入している事実も入院の事実も告知した。それにもかかわらず原告らが保険金の支払いを拒絶するのは不当である」と主張した。
裁判所は被告の入院の不合理性(必要のない入院であった点)、覚せい剤を使用していた点、自己の収入に比べて入院給付金の日額が過大であった点を鑑み、原告(生命保険会社)の主張を認めた。
●hossieのワンポイント
被告の入院時の診療内容(慢性肝炎と診断しながらその原因を明らかにするための検査を行っていないこと、肝機能数値が正常になった後も1ヶ月以上入院していることなど)や覚せい剤を使用していたことを考えると、重大事由に基づく契約解除がなされてもやむを得ないケースと思われます。 |
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